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RESEARCH

胎児とマグネシウム②

胎児とマグネシウム②

最終更新日時 : 2025.01.10

最近では、胎児期のみならず乳児期に臨界期が存在し、その時期までにセットされた素因が、将来の疾患発症を決定するという動物実験のデータが報告されています。遺伝と胎児期環境の要因に加え、エピジェネティクスがその機序解明の手がかりといえます。エピジェネティクスとは、「DNA配列の変化を伴うことなく、後天的な作用により変異が生じる機構」で、胎児期や新生児期の環境が細胞分裂を経ても維持されます。その本体は、DNAのメチル化や染色体ヒストン蛋白質のアセチル化であることが判明しています。 

動物実験では妊娠中にたとえ低栄養であっても、母獣に葉酸やビタミンB群を投与するとエピジェネティクス変化により、仔の形質発現を変える報告がみられます。マグネシウムはビタミンB群や葉酸とともに酵素活性を補助することが知られています。私たちは、母体のマグネシウム欠乏により、胎児の体重増加不良がもたらされ、しかも仔にエピジェネティクス変化が生じることを報告しました3)。仔へのマグネシウム補充でメチル化が修復できるならば、生活習慣病のあらたな予防対策が期待できます。 

出生体重が2,500g未満の低出生体重児が、わが国では10人に1人という高率になってきました。これは若い女性のやせ願望によるダイエットに拍車がかかり、母親になるべき女性の栄養バランスのみだれが原因と考えられます。 

参考文献 

Takaya J, et al. Magnesium deficiency in pregnant rats alters methylation of specific cytosines in the hepatic hydroxysteroid dehydrogenase-2 promoter of the offspring. Epigenetics. 2011, 6:573-8. 

https://oh-kinmui.jp/270/

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