緩和ケア病棟入院中の患者における血清マグネシウム値について
最終更新日時 : 2024.10.29
最近の緩和ケアに対する理解の広がりから、治療早期よりオピオイドが処方されることが多くなり、それに伴い副作 用対策としての緩下剤の処方も長期に及ぶ例が増えてきている。また, がん患者は高齢者が多く、進行例では臓器機能, 特に 腎機能の低下によりマグネシウム代謝に影響が出る可能性がある。
しかしながら、これまでに緩和ケア病棟へ入院した患者 における血中マグネシウム濃度に関する報告は限られている。そこで、当院緩和ケア病棟へ入院したがん患者において血中マグネシウム濃度を測定することにより、終末期がん患者におけるマグネシウム異常と、それに影響する因子について検討した。
緩和ケア病棟へ入院している患者の血中マグネシウム濃度を測定したが、臨床上問題となるような血清マグネシウム値の異常は認められなかった。このことより、緩和ケア病棟での通常のマグネシウム製剤投与では臨床上問題となる血清マグネシウム値の異常は起こしにくく、逆に経口摂取が低下している患者に対してはマグネシウム製剤により血清マグネシウム値が維持されている可能性が考えられた。しかし、状態が悪化した患者に対するさらなる検討が必要と考えられた。
緩和ケア病棟入院中の患者における 血清マグネシウム値について