そもそも「ミネラル」とは?
ミネラルとは
普段の生活の中で「ミネラル」という言葉を目にする機会は多くあります。
スーパーに並んでいる商品のラベル、化粧品や美容品のラベルなど、食品から身の回りの日用品まで幅広く活用されています。
そんな日常に溢れているミネラルは私たち人間の体と切っても切れない重要な役割をもっています。
体内の臓器や細胞、歯や骨など体の土台ともいえる部位を作るための元になったり、体内の活動をサポートしているのです。
ミネラルは体を構成する
ミネラルは、人体を構成する骨や歯、細胞などの材料となる栄養素です。
人の体に含まれる量はごく少量ですが代謝などに関わる酵素の構成成分として、大きな影響を与えています。
例えば、カルシウムは、骨や歯を構成する主要な成分であり、リンやマグネシウムとともに、丈夫な体の土台を作る役割を担っています。
丈夫な骨や歯を作る為には「カルシウム」「マグネシウム」「リン」をバランスよく摂取しなければなりません。
たとえ歯の1本であってもミネラルを材料として作られており、小さな細胞から体全体の働きまで、実に多くのことを支えているのです。
ミネラルが作る体の部位
骨や歯だけでなく、次にあげる部位を作り、サポートしています。
筋肉 | 血液 | 髪の毛 |
爪 | 神経系 | 皮膚 |
甲状腺 | 免疫系 | 赤血球 |
酵素 | 細胞膜 |
ミネラルが関係している体内の化学反応
体は骨、筋肉、細胞、血管、内臓などの様々な部位で構成されています。
その一つ一つの部位の中では、豊かな生命の活動を育むために様々なこれらの化学反応がミネラルの働きによって常に起きています。
筋肉収縮 | 神経伝達 | 血液凝固 |
エネルギーの生産・転換 | DNAの合成・修復 | 酸素の運搬 |
免疫機能 | タンパク質の合成 | 傷の治癒 |
健康的な体は毎日必要となるミネラルの量が満たされることで初めて維持されますが、人の体内では生成(合成)することができません。
イキイキとした健康的な体を維持するためには食事や飲料などの外から取り入れることが必須ですが、摂取が偏るとかえって逆効果になることもあります。
ミネラル不足は様々な不調を招いてしまい、多く摂りすぎても過剰症などの症状を引き起こすことがあります。
ミネラル不足が招く不調
体を構成する様々な部位はミネラルの作用によって正常に機能していますが、不足することで次のような不調を招く可能性があることが分かっています。
骨粗鬆症 | 筋肉の痙攣 | 疲労感 |
心拍数の異常 | 不整脈 | 精神的な不安定 |
貧血 | 疲労感 | 集中力の低下 |
味覚の障害 | 免疫力の低下 | 傷の治癒の遅れ |
これらの不調は他の健康問題が関係している場合もあります。
ミネラルの摂り過ぎが招く不調
ミネラルは人の体に欠かせない栄養素であると同時に摂り過ぎることで次のような不調を招く原因にもなります。
尿路結石のリスク増加 | 腎機能障害 | 骨の脆弱化 |
筋肉の痛み | 心臓のリズム異常 | 下痢 |
吐き気 | 血圧の低下 | 免疫系の機能障害 |
普段の食事からであれば過剰に摂り過ぎることは無いとされていますが、相互に作用しながら体に良い影響を与えるので偏ることなく、バランスよく摂取を心掛けることが大切です。
ミネラルは酵素をサポートする
ミネラルは、消化や吸収、代謝などの働きを調節している酵素を活性化し、サポートする役割を担うほかに、ビタミンと力を合わせて「補酵素」というアシスト役になり、酵素が正常に化学反応を起こせるように酵素の能力を高めています。
これは自動車のエンジンを始動するためにキーを回すようなもので、キーが回るからこそ、酵素というエンジンを始動することができ、酵素というエンジンが始動するからこそ、体に様々な良い影響を与えることに繋がります。
酵素と健康の関係
酵素がサポートする次のような働きは健康にとって重要です。
酵素がサポートする働き | 体内の化学反応を速め、消化・エネルギー吸収をサポートする |
食べ物の消化を助ける | |
代謝をコントロールし、体調のバランスを整える | |
細胞の修復と生成を助け、健康や成長を促す | |
病原体と戦うための免疫力を強化する |
ミネラルが無ければ酵素はその機能を十分に発揮できず、酵素がその機能を発揮できなければ体本来の働きにも様々な影響を及ぼすため、バランスの良い食生活を心がけ、毎日の食事からきちんと補給することが大切です。
特に欧米寄りの食生活の人は良質で安全なサプリメントなどで補給することも必要であると言えます。
ミネラルは体液の調節をする
ミネラルは、体の構成や働き、機能にいたるまで様々な役割を持っています。
体内で細胞を構成するときには水分と水分濃度の調整が重要であり、その一つとして「体液」の一部となって細胞の内外に存在する水分や栄養素などのバランスの調節を行います。
浸透圧とは
体液とは、生物の体内に存在する液体の総称で、血液やリンパ液などが含まれます。
体液は細胞の内側に存在する「細胞内液」と細胞の外側に存在する「細胞外液」に分けられ、 細胞外液はさらに、細胞の間に存在する「間質液」と血液から血球を除いた「血漿液」に分けられますが、ミネラルの分布は間質液と血漿液でほぼ同じとする説と異なるとする説があります。
細胞の水分濃度は浸透圧であらわすことができます。
浸透圧とは2つの場所の水分濃度を同じにするために、水分濃度の濃い場所から薄い場所へ水を運ぶ圧力のことです。体内の浸透圧は「ナトリウム」と「カリウム」によって調整されています。
ナトリウムとカリウムの働き1
ナトリウムは細胞外液に、カリウムは細胞内液にそれぞれ溶け込んだ状態で多く存在しています。
細胞は、細胞膜という薄い膜で包まれており、細胞膜は半透膜と呼ばれる特殊な膜で「水は通すが水に溶け込んだ物質は通さない」という性質を持っています。
細胞膜には特定の物質を選択して通すためのチャネルやポンプと呼ばれる構造があり、これらを介してナトリウムやカリウムなどのミネラルは細胞膜を通過することができます。
浸透圧とは
水が細胞膜を通過する際も、細胞膜の内側と外側に溶け込んでいる物質の「濃度が低い方から高い方へ移動する」という「浸透圧」という力が働いており、水が移動することで細胞膜の内側と外側にそれぞれ存在するナトリウムやカリウムが適切な濃度を保持できるように調節されています。
ナトリウムとカリウムが体液や細胞間の浸透圧のバランスを保ち、細胞間の水分量や栄養素の運搬の調節を担っているのです。
ナトリウムとカリウムの働き2
神経や筋肉の活動に必要な電気信号を伝える役割を果たしているほか、それぞれ血圧にも影響を与えますが個人差があり他の因子にも左右されます。
ナトリウムは血液の浸透圧を高め、血液量を増やすことで血圧を上昇させる傾向がありますが、水分の摂取量や排泄量、血管の収縮度、ホルモンの分泌なども血圧に影響を与えます。
カリウムはナトリウムの排泄を促すことで血圧を下げる効果があると考えられており、高血圧の原因や病態によってはその効果が弱い場合もあり、循環する血液の量が減少しないように血液量の維持や調節を行っています。
ミネラルは筋肉・神経の機能保持に役立つ
人の体は筋肉や神経伝達が正常に行われることで、日常生活を元気に過ごすことができます。
ミネラルは筋肉の収縮や神経の情報伝達をサポートする重要な役割を担っています。
ミネラルと筋肉の関係
カルシウムは、筋肉が縮むために必要なカルシウムイオンの放出を促し、筋肉の動きをスムーズにする働きがある一方で、マグネシウムはカルシウムの働きを調節することで筋肉が緩むのを助ける働きを担っています。
相互に作用し合うことでスムーズな筋肉の動きを実現しているのです。
マグネシウムと神経伝達の関係
マグネシウムは神経伝達に関与する酵素に対して、興奮の抑制を活性化させる役割を果たし、過剰な神経伝達を抑制したり神経伝達物質の合成に必要な補因子として酵素の働きを助けます。
酵素と補因子の関係
補因子とは酵素を助ける物質のこと。
酵素は主にタンパク質でできており、そのタンパク質だけでは体内のさまざまな物質を変化させる代謝が行えない場合もあります。
物質を変化させることができないと体内の代謝のスピードの遅れやエネルギーの生成・消費がスムーズにに行なえず不調に繋がります。
このような時にマグネシウムが補因子の役割を果たし、神経伝達物質などの化学物質が合成されるのを助けます。
カルシウムと神経伝達の関係
カルシウムは、マグネシウムとは反対に神経細胞が興奮するのを高めることで神経伝達を促進し、神経細胞から神経伝達物質を放出するために必要となるカルシウム依存性の酵素の活性化にも関与しています。
カルシウム依存性の酵素とは
カルシウム依存性の酵素とは、カルシウムがないと活性化できない酵素のこと。
カルシムが結合すると物質を変える力が強まり、カルシウムが結合できないと物質を変える力が弱まります。
神経細胞は電気信号を使って他の細胞に命令を出したり会話をしています。
ナトリウムとカリウムが細胞内外に移動することで神経細胞が電気信号を発生させ、カルシウムやマグネシウムがその発生した電気信号のやり取りの活性化や抑制をサポートします。
銅と筋肉・情報伝達の関係
銅も他のミネラルと同様に、筋肉の収縮や神経の情報伝達をサポートする役割を担います。
エネルギー生成をはじめ鉄の代謝、抗酸化作用などに関わり、約10種類以上の酵素の機能を助け、筋肉の収縮に必要なカルシウムイオンの放出を促す酵素の構成要素でもあります。
「ナトリウム」「カルシウム」「カリウム」「マグネシウム」「銅」が不足すると筋肉や神経の機能の不調をまねくリスクがあるので、普段から規則正しい食事をとり、バランスよくミネラルを補いましょう。
ミネラルはイキイキとした健康の源
適切に摂取することで実に多くの健康メリットを得ることができます。
今日から意識的に食事を摂ることでこれらの健康メリットに繋がります。
健康メリット | 骨や歯などの体の強化 |
生命活動の活発化 | |
体のバラスを整える | |
抵抗力を高め、体の防御を高める | |
神経伝達の安定化 |
今現在、少しでも体に不安を感じている場合はミネラルの役割や重要性、得られるメリットを知ることから始めましょう。