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急性胃炎を招くストレスには要チェック!原因・症状から分かる予防法と治し方

最終更新日時 : 2025.10.29

急なお腹の痛みに襲われる「急性胃炎」は、多くのひとが経験のある身近な病気の1つです。
 
一言で胃炎といっても、その原因や症状などは様々で、治療方法なども異なります。
この記事では、そんな急性胃炎について原因や症状、予防法から治療法まで詳しく解説します。

ストレスが招く急性胃炎とその他の健康リスク


突然お腹が痛くて耐えられない、このような症状の場合、「急性胃炎」の可能性が考えられます。
ここでは、急性胃炎の症状などについて解説をします。

急性胃炎

急性胃炎は、胃粘膜に炎症が原因で起こる突発的な症状です。
その原因は、ストレスや食生活の乱れ、薬の副作用などがあげられます。

急性胃炎の初期症状

急な腹痛のほか、吐き気や胃の不快感などが初期症状となります。

胃腸炎

胃炎に似た疾患として「胃腸炎」があります。
胃だけでなく、小腸および大腸にも炎症が発生することで起こるものが胃腸炎です。
 
胃炎の主な原因がストレスや刺激物などの取り過ぎであるのに対し、
胃腸炎の場合、主な原因はウィルスや細菌の感染によるものとなります。

胃腸炎の初期症状

お腹の痛みのほか、吐き気や嘔吐、下痢などが初期症状としてあげられます。

急性胃腸炎

胃腸炎は、「急性胃腸炎」「慢性胃腸炎」に分けることができます。

急性胃腸炎は、ウィルスや細菌による感染が原因となって起こる疾患で、
感染しているひととの接触によって、次々と感染が起こることも特徴です。

急性胃腸炎の初期症状

急性胃腸炎の初期症状には、吐き気や腹痛、嘔吐や下痢などがありますが
免疫力が弱い小児や高齢者の場合には、症状が重くなるケースがあるので注意が必要です。

慢性胃腸炎

お腹の痛みや不快感、下痢などの症状が長期間続き、慢性化した状態のもの慢性胃腸炎と呼びます。
慢性胃腸炎については、日常的なストレスなどが原因となるケースのほか、ウィルスや細菌などが原因となる場合もあります。

当てはまったら要注意!急性胃炎あるある

お腹の痛みを引き起こす疾患は、急性胃炎だけではありません。
ここでは、急性胃炎以外にも腹痛を引き起こす、胃に関わる疾患や誤解をされがちな急性胃炎の特徴について解説をします。

間違えやすい胃潰瘍と胃癌の違い

急性胃炎と同じく胃に関わる疾患として、よく知られているものに「胃潰瘍」と「胃癌」があります。

胃潰瘍は、胃に潰瘍と呼ばれる損傷が発生する疾患で、原因は「ピロリ菌」の感染や、鎮痛剤の副作用です。
これに対して胃癌は、胃壁にある細胞が癌化する疾患になります。

イメージとして、胃炎が胃潰瘍となり、胃潰瘍が胃癌になると考えているひとも少なくないと思いますが
それぞれ、発症する原因が異なり、別の疾患となりますので、胃潰瘍が胃癌になるということもありません。

急性胃炎はうつるって本当?

急性胃炎がほかのひとにうつるというイメージをお持ちのひともいるかと思いますが

急性胃炎には、ウィルスや細菌が原因となる感染性のものと、ストレスなどが原因となる非感染性のものがあり、
感染性の場合は、ほかのひとにうつるため注意が必要です。

その痛み急性胃炎かも!?こんな症状には要注意

急性胃炎になったときには、どのような症状が現れるのでしょうか?ここでは、急性胃炎の代表的な症状について解説をします。

胃がキリキリする痛み

急性胃炎の場合、お腹の痛みとしては「キリキリ」とした痛みが起こるのが特徴です。

場所としては、胃炎の場合、みぞおち付近が痛むのも特徴的となります。

胃がムカムカする吐き気

お腹の痛みと併せて、代表的な症状にあるのが「吐き気」です。

急性胃炎の場合、お腹が張って、重苦しい膨満感と併せて、吐き気を催すことが特徴となります。
「胸やけ」とも言われる、胃がムカムカする不快感とともに、気持ちが悪くなるような症状です。

寒気

お腹の痛み、吐き気に加えて、症状が重くなると寒気も伴うことがあります。

鼻水やのどの痛みといった風邪症状が見られないときに、
腹痛を伴う寒気があった場合には急性胃炎を疑ってみる必要があるかもしれません。

下痢

お腹の痛みと同様に、急性胃炎の症状として多く見られるものに下痢があります。

水様便が1週間程度続くことが多く、嘔吐と併せて現れることも特徴的です。
下痢や嘔吐が出る場合には、ウィルスや細菌への感染が疑われるため、症状が改善しない場合には、速やかに医療機関への受診が必要となります。

痛み

急性胃炎の場合、痛みは概ね胃、つまりみぞおちとその周辺に現れます。
痛みの程度としては、軽いものが多いのも特徴的です。

痛みの程度が重く、長期間続く場合には、別の疾患の可能性があるため
痛みの程度や期間に注意をし、必要に応じて専門的な検査を受けるようにしましょう。

ウィルスや細菌による感染性の胃炎の場合、腹痛や下痢だけではなく発熱症状が現れる場合もあります。

ストレスだけじゃない!急性胃炎を招く健康リスクと原因

急性胃炎の主な原因は「ストレス」だと言われていますが、ストレスだけで急性胃炎になるわけではありません。

ここでは、急性胃炎発症のメカニズムと主な原因について、詳しく解説をし、急性胃炎についての理解を深めたいと思います。

急性胃炎のメカニズム

は、口から肛門まで繋がる「消化管」を構成する器官・臓器の1つ
その役割は、口から摂取された食べ物を一時的に貯留することと、
胃に溜まった食べ物を「胃酸」などの「消化液」によって細かくすることです。
 
この胃酸などの消化液は、非常に強い「酸性」のため、
そのままだと、胃そのものも損傷してしまいますが、胃酸によって胃が傷つかないように
胃の内側には「粘膜」が存在していて、粘膜から出される「粘液」によって、胃酸が中和され
胃が傷つかずに、食べ物だけを消化して、細かくすることが可能となっています。
 
この粘液が、ストレスや食べ物の過剰摂取、辛い物などの刺激物を摂ることで
少なくなったり、出なくなることで、胃酸からの攻撃に耐えられず、胃が傷つくことで急性胃炎となります。
 
このように、何らかの原因で胃粘液が影響をされることで、胃酸からのバリア機能が効かなくなること
急性胃炎のメカニズムになりますが、この「原因」については「外因性」のものと「内因性」のものが存在します。

外因性の原因

外因性の急性胃炎とは、からだの外からの影響によって発症する急性胃炎のことで
主な外因性の原因となるものは、以下のようなものがあげられます。

ストレス

ストレスは、精神的な負荷のため、内因性のように感じるかもしれませんが
ストレスの原因が、人間関係や仕事といった外的な要因となるため、外因性に分類されています。

暴飲

お酒やコーヒーなど、アルコールやカフェインといった刺激性の薬物が含まれる飲み物を
大量に摂取することで、胃の粘膜の機能が低下し、粘液が少なくなることで急性胃炎となります。

暴食

過度の食べ過ぎは、胃の機能を低下させるため、胃粘液の産生にも影響を及ぼします。
また、辛い物のような刺激物は、胃粘膜を傷つけるため、粘液が少なくなる原因となります。

アルコール

アルコールは、胃粘液を阻害する作用があるため、アルコールが直接、胃粘膜に作用をすると
胃粘液の機能が低下、もしくは粘液そのものが少なくなるため、急性胃炎を発症させます。

内因性の原因

ウィルスや細菌などが体内に侵入することで発症する急性胃炎は、
からだの内側から起こるため「内因性」の急性胃炎に分類されます。

また、内服薬のように体の内部で作用する薬物の副作用による急性胃炎も内因性に分類されます。

急性胃炎を引き起こす病気・健康リスク

食中毒などウィルスや細菌に感染することで発症する感染症は、
腹痛や嘔吐など、急性胃炎を発症させる原因となります。

また、感染症による急性胃炎は、原因となるウィルスや細菌が駆除されない限り完治しないため
長期化する傾向があり、慢性胃炎になるリスクがあるため、より注意が必要です。

処方薬などの薬剤にも原因あり(薬剤性)

一部の鎮痛剤を処方される際に「空腹時に服用しない」といった指導を受ける事と併せて
「胃薬」を処方されることがあるかと思います。

これは、ロキソニンなど「NSAIDs」と呼ばれる「消炎鎮痛剤」の副作用として
急性胃炎を含む「消化管障害」があるためです。

ロキソニンなどは、炎症による痛みを抑える効果がある薬ですが、
炎症の原因となる物質が、胃の粘液を産生する作用があるため、
炎症の原因物質を抑えて痛みを抑制するロキソニンの副作用として
胃粘液の産生も抑制されることで、急性胃炎が起こってしまいます。

急性胃炎の対処法・治療法を詳しく解説

急性胃炎になったときに、どのような対処法や治療法があるのでしょうか。ここからは、急性胃炎の対処法・治療法について解説をします。

急性胃炎の治療方法

急性胃炎の治療方法ですが、医療機関での治療としては「薬物療法」が第一選択となります。

急性胃炎のメカニズムの部分で解説をしましたが、急性胃炎は胃粘液が少なくなることで
胃そのものが胃酸によって傷害されることで起こるため、胃酸の量を少なくする薬を飲むことで
胃酸による胃への攻撃を弱くすることが、第一の治療となります。
 
ただ、胃粘液が少なくなってしまう原因そのものを取り除かない限りには、胃酸を薬で抑制する
対処療法を続けなければいけないため、根本治療としては、原因への対処が必要となります。
 
ストレスが原因の場合には、ストレスのもとへの対応が必要となりますし、
暴飲暴食やアルコールといった食事が原因の場合には、食生活の改善が根本治療となります。
 
感染症が原因となる急性胃炎の場合は、ウィルスや細菌の駆除が必要となります。

胃カメラ

症状として腹痛や吐き気、嘔吐にとどまらず、胃壁から出血がある場合には
胃の内視鏡、いわゆる「胃カメラ」を使用しての止血治療が必要となります。
 
また、「ピロリ菌」の感染による急性胃炎については
内視鏡検査によってピロリ菌の存在有無を確認し、治療へと進んでいくこととなります。

その他の方法

ロキソニンなどの消炎鎮痛剤の副作用が原因で起こる急性胃炎については
状況に応じて、ロキソニンの服用などを中止し、アセトアミノフェンなど
消化管障害のリスクが少ない鎮痛剤への切り替えなどが必要となります。

急性胃炎の治療期間

一般的には発症から3日から1週間以内で自然に治りますが
重症の場合には、それ以上の期間、症状が継続する場合があります。
 
そのため、3~4日様子を見ても、症状が緩和されない場合には
早めに消化器内科など専門の医療機関を受診して、原因を特定し、適切な治療を受けることがオススメです。

急性胃炎の診断方法

発症している症状や食事やストレスの有無など生活環境などの問診から得られる情報から、急性胃炎であることと判断されますが、
確定診断をするためには「胃カメラ」による「内視鏡検査」で、直接胃の状態を目視で診断する必要があります。
 

急性胃炎を早期発見するポイント

急性胃炎を、可能な限り早い段階で発見するためには、
お腹の膨満感や軽い吐き気を感じた段階で消化器内科などに相談をすることが重要です。
 
また、健康診断などでオプションとなっている胃の内視鏡検査を受診することで
胃の状態などを定期的に確認することでも早期発見が期待できます。

知っておきたい急な痛みの対処法

仕事中や食事など、急に襲ってくる痛みには、どのような対処法があるのでしょうか。

痛みが楽になるポイント

急にお腹が痛くなった時には、横になれる場合には横になって安静にしましょう。外出先や勤務中など、横になることが難しい場合には、背中を丸めるようにかがむと楽になります。座ることができる場合には、背中を丸めて座ることが良いため、体育座りがオススメです。

痛みを悪化させるポイント

腹痛がある状況で、無理をして、我慢することはかえって症状を悪化させるリスクがあります。そのため、お腹が痛くなった場合には、無理をせずに楽な姿勢で安静にするようにしましょう。

また、辛い物のような刺激物やアルコールやコーヒーなどは、胃を攻撃するだけでなく胃粘液の産生を抑制する作用もあるため、腹痛や胃のムカつきがある場合には、控えることが大切です。

急性胃炎にならないための予防法・治し方

急性胃炎は、その原因が比較的分かりやすく、自覚しやすいものが多いのも特徴です。原因をしっかりと把握をして、自分自身の行動を変えることで急性胃炎は予防し、治すことが多い疾患です。

正しい食生活を心掛ける

暴飲暴食や刺激物の過剰摂取、お酒やコーヒーの飲み過ぎなどが急性胃炎の原因となります。常日頃から、栄養バランスの取れた健康的な食事を、適切なタイミングで適量摂取することが大切です。

ストレスの無い生活環境を心掛ける

急性胃炎の原因として多いものがストレスによるものです。

ストレスのない生活を送れることが理想となりますが、周りの環境を自分自身で変えることには限度があるためストレスを感じても、しっかりと発散ができるような、ストレス解消方法を見つけるように心がけましょう。

日常に潜む病原菌と急性胃炎の関係性

急性胃炎には、細菌やウィルスが原因となっておこるものがあります。特に多いものが「ピロリ菌」と「アニサキス」への感染によるものがあげられます。

ピロリ菌

ピロリ菌は、生活用水のなかに生息をする細菌の一種です。

都市部の水道水については、浄水場にて処理がされているため、ピロリ菌などの細菌は殺菌され、安全に飲むことができますが、「井戸水」のような未処理の生水については、ピロリ菌などの細菌が自然の状態で生息をしています

そのため、ピロリ菌の主な感染ルートは井戸水などの生水の飲水によるものとなります。このピロリ菌は、胃酸のなかでも生息ができる強い細菌のため、胃の中に侵入すると、そのまま生息し、胃壁を傷つけて急性胃炎を引き起こします。

さらに最悪の場合、胃癌の原因にもなるので、生活水として井戸水などを利用している場合、胃の不快感や痛みを感じた場合には、早めの医療機関受診がオススメです。

アニサキス

アニサキスは、魚介類のなかに生息をする「寄生虫」の一種です。

アニサキスが寄生するものには、鯖や秋刀魚、鰹といった魚やイカなどがあります。これらの魚を刺身として生で食べることで、アニサキスが胃の中に寄生し、胃を傷つけます。アニサキスは、胃の中で生き続けることができないため、通常は1週間以内に痛みは解消されます。

急性胃炎は自然治癒できる?免疫力とマグネシウムの関係

人間の防衛機能の1つに「免疫機能」があります。

主に、ウィルスなどの外敵が体内に侵入したときに対抗をする「白血球」や「抗原」などが免疫機能の主役と言えますが、急性胃炎との関係については、どのような関係があるのでしょうか。最後に、急性胃炎と免疫力について解説をします。

急性胃炎とヒトの免疫力の関係性

急性胃炎のうち、細菌やウィルスによる感染症が原因で発症するものがありますが、この感染症による急性胃炎の原因は、「免疫力」の低下によるものです。
 
小児のように、そもそも十分な免疫力が備わっていない状態であったり
高齢者のように、免疫力が加齢とともに低下している状態の場合、
通常であれば、免疫機能の働きによって症状が抑えられる感染症について
免疫機能の機能低下や機能不全によって腹痛などの症状が発症することがあります。
 
このように、免疫力が適切に発揮されない状態においては、
感染症によって急性胃炎が引き起こされてしまうため、日ごろより免疫力が低下しないよう
規則正しい、健康的な生活スタイルが求められます。

ヒトの免疫力と密接な関係にあるミネラル

ヒトの免疫機能を司るのは、白血球リンパ球、リンパ球が生み出す抗体といった細胞たちです。
これらの細胞を作り出すときに必要となるのが、ビタミンやミネラルといった必須栄養素になります。

これらの栄養素のうち、必須ミネラルの1つに数えられる「マグネシウム」も、この免疫機能を司る細胞たちを作り出す際に、必要となる栄養素です。そのため、マグネシウムが足りない状態になると免疫機能は低下し、感染症にもかかりやすくなります。免疫機能を維持し、感染症を発症させないためには、マグネシウムをはじめとするミネラルの摂取が大切です

マグネシウムはヒトの生命活動に不可欠なミネラル

免疫機能において、重要な役割を担っているマグネシウムですが、免疫への作用以外にも筋肉の弛緩をさせる作用があり、柔軟な筋肉を維持するといった役割や、血管を拡げることで、血の巡りを良好にし、高血圧を予防する効果などがあります。
 
さらには、精神的な安定に欠かすことができない神経伝達物質である「セロトニン」の産生にもマグネシウムが必須であるため、メンタルにおける健康維持にも大きく貢献をしている栄養素です。

マグネシウムを日常的に補うおすすめの方法

マグネシウムの摂取については、「食事」からの摂取が基本となります。

マグネシウムをはじめとする天然のミネラルは、海水に多く含まれるため海の中で育つ海藻や魚介類に多く含まれています。 マグネシウムを多く含む食材には以下のようなものがあります。

・ワカメ、あおさなどの海藻類
・しらす、桜エビなどの魚介類
・豆腐、納豆などの大豆食品

これらの食材からの補給で、必要なマグネシウムは十分に摂取可能ですが難しい場合には、サプリメントによる摂取も手軽でオススメです。

まとめ


今回は、「急性胃炎」について詳しく解説を行いました。

急性胃炎は、ストレスや乱れた食生活によって起こる身近な疾患の1つです。
そのため、規則正しい生活を心がけ、栄養バランスの取れた食事を取ることで予防や対処ができる疾患でもあります。

単に胃の不快感や吐き気、腹痛といって放置をすると、症状の長期化や、別の重篤な疾患が存在している場合もありますので早めに専門医に相談することで、早期治癒や重症化を予防することも可能です。

気になる症状などがある場合には、この記事を参考に適切な対応を頂けると幸いです。

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