胃がんにならないために！症状・原因・予防方や治療方を詳しく解説します！

2025.10.212025.10.29最終更新日時 : 2025.10.29

癌を告知されたときは辛いですが、そもそもの症状の理解から予防方法を事前に知っておくと気持ちの準備もでき、また初期症状からの知見が得られますので、本記事では癌について、さらに細分化した胃がんについての情報を解説していこうと思います。

胃がんとはどんな症状？

胃がんはどのような症状をもたらすのでしょうか。この章では胃がんの初期症状から末期症状、手遅れになる症状から進行速度について詳しく解説していきたいと思います。

胃がんの初期症状

胃がんの初期症状は軽微で中々見逃しがちの症状が多数あります。

食欲不振
食欲が減退し、食べる量が減ることがあります。
軽度の腹部不快感や痛み
胃のあたりに軽い不快感や鈍い痛みを感じることがあります。
早期満腹感
少量の食事で満腹感を感じることが多くなります。
胸やけや胃もたれ
胸やけや胃もたれの症状が持続的に続くことがあります。
軽い吐き気
食後に軽い吐き気を感じることがあります。
体重減少
食欲不振や消化不良により、意図せず体重が減少することがあります。

これらの症状は胃がんに特有のものではなく、他の胃腸の問題（例えば胃炎や胃潰瘍など）でも見られることが多いため、これだけで胃がんを疑うのは困難です。しかし、これらの症状が持続したり、頻繁に起こる場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。

胃がんの末期症状

胃がんが進行していくと、症状が末期症状へと推移します。強い腹痛が現れる症状は、周囲の臓器や神経を侵すことによる激しい痛みの症状です。下血、吐血のような症状が現れますが、こちらは胃がん特有の物ではないため、すぐに医療機関で診察を受ける必要があります。その他にも貧血、疲労感、腹水、黄疸、嚥下困難などの症状が現れます。

腫瘍による腸閉塞にもつながっていくことで、腫瘍が腸を圧迫し、腸閉塞（腸の通過障害）を引き起こすことがあり、これにより腹部膨満感や激しい腹痛、便秘が生じます。

胃がんの手遅れの症状

末期症状とほぼ同様ですが、さらなる激しい痛みが持続したり、精神的に抑うつ状態に陥ったりと症状は酷くなります。

こちらの症状になってしまった場合は、緩和ケアに切り替え、鎮痛剤の使用、栄養管理や精神的な支援を受けることを重視していき、苦痛の軽減から安らかな生活を送るためのケアを目指して治癒が始まります。

胃がんの進行速度

胃がんの進行速度は、がんの種類、個人の健康状態、治療方法などさまざまな要因によって異なりますが、進行に影響を与える主な要因について解説します。

がんの種類には、腺がん（アデノカルシノーマ）とスキルス胃がんの2種類があり、発見時のステージにおいても進行速度に影響があります。

発見時のステージは「早期がん」と「進行がん」に分かれており、早期がんの場合は、がんが胃の粘膜層や筋層にとどまっており、治療が成功する確率が高く、進行が遅いことが特徴です。進行がんの場合は、がんが胃の外に広がっており、リンパ節や他の臓器に転移していることが多く、進行がかなり早くなります。

もちろん、他の病気同様年齢や健康状態でも進行速度の違いは起こりますし一概にこのスピードであると言うことは難しいですが、早期発見と適切な治療が進行を遅らせる鍵となり、定期的な健康診断や内視鏡検査を受け、早期発見に努めることが重要になっていきます。

胃がんの原因

胃がんの原因は多岐にわたり、複数の要因が複雑に絡み合って発症することが一般的であり、これといったものが１つだけというわけではないようです。ここではその主な原因について詳しく解説します。

ピロリ菌

胃がんの最大のリスク要因の一つであり、長期間の感染が胃の粘膜に炎症を引き起こし、がんの発症リスクを高めます。

ピロリ菌は、胃の内壁に住み着く細菌で、慢性的な胃炎や胃潰瘍の主な原因となります。この感染は通常、幼少期に起こり、感染したまま何年も、あるいは一生感染が続くこともあります。ピロリ菌感染者は、非感染者に比べて胃がんのリスクが数倍高いとされています。特に、ピロリ菌が原因で慢性胃炎が長期間続く場合、胃がんのリスクが顕著に増加します。

ストレス

ストレスと胃がんの関係については、直接的な因果関係を示す決定的な証拠はありませんが、ストレスが間接的に胃がんのリスクに影響を与える可能性があります。

胃酸の過剰分泌
ストレスが続くと、交感神経系が活性化され、胃酸の分泌が増加することがあります。これが胃の粘膜を刺激し、炎症や潰瘍を引き起こす可能性があります。
胃の粘膜防御機能の低下
慢性的なストレスは胃の粘膜防御機能を低下させ、胃の内壁が胃酸によって損傷されやすくなります。これにより、胃炎や胃潰瘍が発生しやすくなります。
食欲や食習慣の変化
ストレスによって食欲が増減し、食習慣が乱れることがあります。過食や不規則な食事、栄養バランスの偏りが胃の健康に悪影響を与える可能性があります。

喫煙

タバコの煙には多くの発がん性物質が含まれており、これらの物質が胃の粘膜に直接触れることで、細胞にダメージを与え、がんの発生リスクを高めるという研究結果が出ています。

喫煙は全身の免疫機能を低下させる場合や、ピロリ菌感染のリスクが高まる可能性があり、ピロリ菌感染と喫煙の組み合わせは胃がんのリスクをさらに増加させることがあります。

更には酸化ストレスの増加により、細胞がダメージを受けやすくなることで、がんの発生を促進する可能性が示唆されています。

喫煙をやめることで、胃がんリスクは徐々に低下し、禁煙後10年以上経過すると、非喫煙者とほぼ同等のリスクにまで低下することが示されています。

飲酒

飲酒と胃がんの関係についても多くの研究が行われており、飲酒は胃がんのリスクを高める可能性があることが示されています。

アルコールは胃の粘膜を直接刺激し、細胞にダメージを与えることがあり、これが慢性的な炎症を引き起こし、がんのリスクを増加させます。

また、アルコールが体内で分解される際に生成されるアセトアルデヒドは、強い発がん性を持つ化合物であり、アセトアルデヒドが胃の粘膜に長時間留まることで、がんの発生リスクが高まるとされています。

飲酒は胃がんのリスクを高める要因なので特に過度な飲酒は、胃がんのリスクを大幅に増加させる為、適度な飲酒にとどめるか、必要に応じて禁酒を検討しましょう。

食生活の乱れ

高塩分食品の燻製食品や加工肉（ハム、ソーセージ、ベーコンなど）は、発がん性物質であるニトロソアミンが含まれていることがあり、これらの食品の過剰摂取は胃がんのリスクを増加させる可能性があります。

冷蔵技術が発達する前は、食品の保存に塩分や化学物質が多く使われており、これらの保存食品の過剰摂取もリスク要因となります。

また、不規則な食事や過食、早食いは、胃に負担をかけることがあり、胃の粘膜が慢性的に刺激され、炎症や損傷が起こりやすくなることで細胞にダメージを与え胃がんのリスクを増加させてしまう事に繋がりますので注意が必要です。

新鮮な野菜や果物を使ったスムージーやサラダを日常的に摂取することで、抗酸化物質やビタミンCを効率よく摂取し、魚や豆類の活用は高タンパクで低脂肪な魚や豆類を積極的に摂取し、加工肉の摂取を減らしましょう。

胃への負担

不規則な食事、高塩分食品の摂取、アルコールの過剰摂取、喫煙、ストレス、ピロリ菌感染は胃への負担に繋がっており、胃への負担が長期間続くと、胃がんのリスクが高まることがあります。

胃への負担を軽減し、健康を維持することは胃がんの予防に繋がりますので、規則正しい食生活、低塩分食、適度な飲酒、禁煙、ストレス管理、ピロリ菌感染の検査と治療、定期的な健康診断などの対策を取り入れバランスの取れた食事を心がけ、胃の健康を守りましょう。

胃がんの治療法

胃がんの治療法にはどのような治療法があるのでしょうか。

胃がんの手術は、がんの進行度や患者の健康状態に応じて選択されることになりますが、手術の主な目的は、がん組織を完全に取り除き、再発リスクを最小限に抑えることが重要になります。

手術にもさまざまな種類があり、がんの進行状況や、がんにおける最善の手術の選択肢は医師の判断をもとに決めていきます。

噴門手術

噴門部は、食道と胃の接続部に位置する部分で、胃の入口にあたります。

この部分にがんが発生することを「噴門部胃がん」と呼び、胃がんの中でも特に難治性とされ、手術が困難な場合もあります。

噴門部胃がんの手術

噴門部胃がんの治療には、手術が主要な選択肢の一つです。

以下に噴門部胃がんの手術方法とそのプロセスについて説明します。

主な手術方法

部分胃切除術（近接胃切除）
- 対象: 噴門部に限られたがん。
- 方法: 噴門部を含む胃の上部を切除し、食道と残りの胃を再結合します。場合によっては、残胃を小腸に直接接続することもあります。
全胃切除術
- 対象: がんが噴門部から胃の他の部分にも広がっている場合。
- 方法: 胃全体を切除し、食道と小腸を直接接続します。周囲のリンパ節も除去されることが多くなります。
食道胃接合部切除（食道部分切除を伴う手術）
- 対象: 食道に近い部分にがんが広がっている場合。
- 方法: 食道の一部と噴門部を含む胃の部分を切除し、食道と小腸または残胃を接続します。

幽門手術

幽門部は、胃の出口にあたる部分で、小腸（十二指腸）に繋がる場所です。

幽門部にがんが発生することを「幽門部胃がん」と呼び、この部分にがんができると、食べ物の通過が妨げられ、食事摂取や消化に影響を及ぼすことがあります。

幽門部胃がんの手術

幽門部胃がんの治療には、手術が主要な選択肢の一つです。以下に幽門部胃がんの手術方法とそのプロセスについて説明します。

主な手術方法

部分胃切除術（幽門側胃切除）
- 対象: 幽門部に限られたがん。
- 方法: 幽門部とその周囲の胃の一部を切除し、残った胃を十二指腸や小腸に再接合します。周囲のリンパ節も除去することが多くあります。
全胃切除術
- 対象: がんが幽門部から胃の他の部分にも広がっている場合。
- 方法: 胃全体を切除し、食道と小腸を直接接続します。周囲のリンパ節も除去されることが多くあります。
幽門形成術
- 対象: 幽門部の狭窄を改善するため。
- 方法: 幽門部を広げて食物の通過を良くする手術。がん治療というよりは、症状緩和のために行われることがあります。

切除手術

胃がんの切除手術は、がんを含む胃の部分または全体を取り除くことを目的としています。手術はがんの広がり具合や患者の全体的な健康状態に基づいて計画されます。

手術の主な目標は、がんを完全に切除し、再発のリスクを最小限に抑えることです。以下に、胃がん切除手術の概要とその種類、術前・術後の管理について説明します。

主な手術の種類

内視鏡的粘膜切除術（EMR）および内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）
- 対象: 早期胃がんでリンパ節転移がないと考えられる場合。
- 方法: 内視鏡を使用して胃の内側からがん組織を切除します。侵襲が少なく、回復が早いのが特徴です。
部分胃切除術（亜全摘術）
- 対象: 胃の一部に限られたがん。
- 方法: がんが存在する胃の部分のみを切除します。周囲のリンパ節も一緒に切除されることが一般的です。
全胃切除術
- 対象: 胃全体に広がるがん。
- 方法: 胃全体を切除し、食道と小腸を直接つなげます。この手術もリンパ節を含めてがん組織を完全に除去することを目指します。
幽門保存胃切除術
- 対象: 胃の中部や上部に限られたがん。
- 方法: 幽門部を残して胃の一部を切除し、消化機能をできるだけ温存する手術です。

胃がんになりやすい人

では、胃がんになりやすい人はどのようなひとなのでしょうか。ここでは胃がんになりやすい人の特徴について詳しく解説していこうと思います。

胃がんになりやすい年齢

胃がんの発生率は50歳以上から急増すると言われており、この年代は胃がんのリスクが高く定期的な検診が推奨されます。

50歳から70歳以上にかけてリスクが最も高くなると言われており、70歳以上からは発見が遅れる場合が多く、進行した状態で診断されるケースが増えるため特に注意が必要となります。

胃がんになりやすい生活習慣

胃がんになりやすい生活習慣は、食生活や喫煙、飲酒、不規則な食事、ストレスが主な要因となっております。

喫煙、飲酒は一般的にあまり体にいいとされておらず、胃にも負担がかかります。

タバコの煙には、ニコチン、タール、アセトアルデヒド、ベンゼンなど、多くの発がん性物質が含まれており、これらの物質が胃の粘膜にダメージを与え、がん細胞の発生を促進します。

飲酒には胃酸の分泌が促進されることがあり、これが胃の粘膜を傷つけ胃の内壁を損傷し、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。

過度の飲酒は栄養素の吸収を妨げることがあり、特にビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミンの不足は、がんの予防効果を低下させます。

胃がんになりやすい食習慣

食生活の乱れによって胃に過度の負担をかけることで胃粘膜を傷つけ、慢性的な胃の炎症が引き起こされ、がんのリスクが高まります。

高塩分の漬物、塩辛、干物、ラーメンのスープなど、塩分の多い食品の摂取は胃がんのリスクを高める傾向にあり、塩分が胃の粘膜を刺激し、炎症を引き起こすことで、がんの発生リスクが増します。

燻製魚や燻製肉には、発がん性物質であるベンゾピレンなどが含まれていることがあり、これらの食品を頻繁に摂取することはリスク要因となります。

新鮮な野菜や果物には、抗酸化物質や食物繊維が豊富に含まれており、これらはがんを予防しますが、これらの食品を十分に摂取しないことは、胃がんのリスクを高めます。

胃がんの予防法

胃がんの予防には、生活習慣の改善と定期的な検診が重要です。

ここでは胃がんのリスクを低減するための具体的な予防法を詳しく解説していこうと思います。

胃がん検診

胃がん検診は、胃がんの早期発見と早期治療を目的とした重要な検査です。

胃がんの検診には大きく分けて3つの検査があります。

内視鏡検査（胃カメラ）
- 概要: 内視鏡を使って直接胃の内部を観察する検査です。口または鼻から細いカメラを挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を詳細に観察します。
- メリット: 直接観察できるため、微細な病変も発見可能。組織の一部を採取して生検することもできます。
- デメリット: 検査時の不快感や吐き気、軽度の出血や感染のリスクがあります。
バリウム検査（胃X線検査）
- 概要: バリウムという造影剤を飲んだ後、X線を用いて胃の形状や内部の異常を確認する検査です。
- メリット: 胃の全体的な形状や大きな病変を把握するのに有効。内視鏡検査より不快感が少ない場合があります。
- デメリット: 微細な病変の発見が難しく、異常が見つかった場合は内視鏡検査が追加で必要となることがあります。
ピロリ菌検査
- 概要: ピロリ菌の感染を確認するための検査です。血液検査、呼気検査、便検査、内視鏡検査時の胃粘膜の検査などがあります。
- メリット: ピロリ菌の有無をチェックし、感染がある場合は除菌治療することで胃がんのリスクを低減できます。
- デメリット: 胃がんの直接的な検査ではないため、感染がない場合でも定期的な胃がん検診が必要です。